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共感マーケティングを引き起こす!インフルエンサーによる「ヒト売れ」とは【SNSビジネスの成功法則①】
最終更新日 2024年10月17日(Thu)
記事作成日 2023年9月29日(Fri)
「ヒト売れ」とは、インフルエンサーという「人」がユーザーである「人」に対して商品・サービスを伝え、共感を生み出すメカニズムのこと。いわゆる「共感マーケティング」とも呼ばれるものです。
インフルエンサーマーケティングに対して、単に「インフルエンサーにPRを依頼すれば売上が上がる」と考える企業も多いかもしれません。しかし、それは大きな誤解です。
企業の商品やサービスを”自分ゴト”として捉えてもらうためには、人を介して発生するこの共感のメカニズムへの理解は欠かせません。
今の時代にどのように商品やサービスが売れていくのかを解説します。
目次
本記事は、弊社代表福田による書籍「影響力を数値化 ヒットを生み出す「共感マーケティング」のすすめ」を一部抜粋しており、連載として以下の記事に続きます。
Instagramのエンゲージメントと共感指標の向上【SNSビジネスの成功法則②】
インフルエンサーによる共感マーケティング成功事例
まずは、インフルエンサーによる共感マーケティング(ヒト売れ)がどのようにして成功するのか、イメージ付けのために弊社での実例を紹介しましょう。
2017年12月、弊社では東京・表参道で13日間にわたり『VINYL MUSEUM』 (ビニール・ミュージアム)というイベントを実施しました。
「共感型フォトジェニック・アート展」と題した本イベントは、若い女性に好まれそうなアートを鑑賞するだけではなく、アートの中に入り込んで自ら撮影ができるという内容です。入場者は、自由に館内で撮影でき、その様子をインスタグラムに投稿できます。
- 入場料:1500円/回
- 滞在可能時間:5分間
- 定員制限:1回あたり50名
私たちは、このイベントのプロモーションをインフルエンサーによる告知だけで行いました。
結果として、開催期間の13日間で延べ5,500名の来場者数を記録しています。
本イベントから、インフルエンサーマーケティングによる2つの「共感」があることが分かりました。
ポイント1. 来場者の「体験したい」という共感欲求
本イベントで、来場者が得られるものは「おしゃれな空間で写真を撮影できる」ことだけです。
来場者は、写真を撮影するだけのために1,500円の入場料を支払っています。
さらに、時間制限を設けることで、撮れるだけ写真を撮って沢山投稿したいという気持ちをかきたてました。
このことから、SNSを見て訪れた来場者の「自分も体験したい」という共感欲求の強さが分かります。
ポイント2. 「共感マーケティング」効果の大きさ
本イベントで弊社が行ったのは、インフルエンサーマーケティングのみで、5,500名もの来場者数を獲得したのです。
具体的には、招待した3名のインフルエンサーに「#VINYL MUSEUM」というハッシュタグを付けて告知をしてもらいました。
結果として、インフルエンサーの投稿を見たフォロワーや、フォロワーのフォロワーが関心を持ち、テレビ局・Webメディア・雑誌に紹介されるまでのイベントとなったのです。
弊社はこのイベントで来場者へ「イベントの開催を知ったきっかけ」に関するアンケートを実施したところ、以下の回答を得られました。
- インスタグラム:73%
- テレビなどのマスメディア:8%
つまり、インフルエンサーマーケティングを行わずにマスメディアのみの広告を行っていたら、数億円の費用がかかったにも関わらず、500名程度の来場者しか見込めなかったのです。
インフルエンサーマーケティングを軸としたことで、コストを抑えた宣伝が可能となりました。
「共感」を起こすインフルエンサーマーケティングとは
インフルエンサーとは広い意味で「世間に与える影響が大きい人物」を指します。彼らが発言・発信することで物事が瞬く間に拡散し、トレンドになります。
インフルエンサーには、タレントや芸能人も含まれますが、単にフォロワー数の多い人が魅力的かというと、必ずしもそうではありません。
人々の共感を引き起こすためには、フォロワーとの深い信頼関係や共感を生む力が重要です。
芸能人ではない一般のインフルエンサーである強み
インフルエンサーマーケティングで成功できるインフルエンサーは、フォロワーの数でもテレビ出演の数でもなく、地道に発信を続けた一般人のインフルエンサーです。
コツコツフォロワーを増やしてきたインフルエンサーの方が、狙ったターゲットに向けて、より低コストでマーケティングの効果を発揮できます。
一般人であるインフルエンサーは、「芸能人だから特別」という偏見や距離感がなく、身近な存在であることが共感を得やすいポイントです。
「共感」で心を掴めるインフルエンサーの特徴
では、具体的にどのようなインフルエンサーがユーザーの「共感」を得やすいのでしょうか。
- 自分の意見や経験オープンにし、率直にシェアする
- 日常生活での感情や苦労話、失敗談を語る
- 目標やそれを達成したときの成功の喜びを語る
- 発信する価値観に一貫性がある
一例として、上記のような特徴があります。
たとえば、ダイエット情報を発信するインフルエンサーであれば、目標をどのように達成したのか、どんなことに苦労したのかを語ることで、ユーザーの共感を生みやすくなります。
また、痩せて細いデニムが履けるようになったことを写真付きで紹介することで、人々の心を掴めるはずです。
商品プロモーションをする際も同じで、ただ商品を褒めるだけではなく、レビューや体験談を正直に伝えることが大切です。この共感によって物が売れることが、「ヒト売れ」です。
インターネットによる「共感マーケティング(ヒト売れ)」の変遷
一般人であるインフルエンサーがマーケティング効果を発揮する理由は、インターネットの進化とマーケティングの本質にあります。
以下では、インターネットと人と人との繋がりがどのように進化してきたかについて解説します。
【1998~2003年】インターネットの普及
日本でインターネットが一般的に普及してきたのは1998年です。
しかし、この時代は、人と人とのコミュニケーションがまだ活発ではありません。
掲示板サイトによる情報交換程度で、SNSほど人と人との距離が親密ではありませんでした。
WindowsやiMacなどもこの頃から利用が始まり、インターネットも珍しいものではなくなりました。
この頃から企業やメディアも公式ホームページを作るようになりました。
1999年には、NTTドコモの『iモード』が始まり、どこにいてもインターネットやメールができる環境が整い、個人がインターネットを積極的に利用できるようになったのです。
【2004~2007年】インターネットによる共感マーケティング(ヒト売れ)の始まり
2003年までは、一方的に情報を提供するようなツールとしてインターネットが利用されてきましたが、2004年からは「交流」の要素が加わります。
とくに多くの人に影響を与えたのが「mixi(ミクシイ)」です。
mixiは知らない相手と「同じ趣味」や「共通点」で、簡単に繋がることができる特性から、爆発的にユーザー数を増やしました。
日本におけるSNSの原点とも言えます。
そのほかにも、2004年には「前略プロフィール」が流行し、インターネット上で個人の人格を持つ時代が始まったのです。
その後、「ライブドアブログ」「アメーバブログ」のようなブログサイトが人気になり、コメント欄や足跡を通じて、多くの人がインターネット上で交流を繰り広げるようになっていきます。
【2008年以降】インターネットによる共感マーケティング(ヒト売れ)の流行
インフルエンサーマーケティングの軸となる「Twitter(現:X)」や「Facebook」が流行し始めたのは、2008年からです。
海外では2008年以前より使われていましたが、日本語化されてリリースしたのが2008年頃でした。
これらの新たなSNSと、従来のブログやmixiとの大きな違いは、「シェア(拡散)」ができる点です。
ユーザーは、他人が発信した気になる情報やタメになる情報を、多くの人にシェアするようになります。
しかし、インスタグラムにおいては、Twitter(現:X)とFacebookと若干の違いがあります。
インスタグラムにおいては、単なる情報ではなく、価値観をシェアする傾向があるのです。
他人にとって「これはタメになる」「これは知っておくべき」という情報ではなく、単に「自分はこういったものが好きだ」というアピールとしてシェアの機能が使われます。
つまり、他人のためにシェアするのではなく、自分の感性に共感してほしいという欲求を満たすためにシェアをしているのです。
この承認欲求を満たす上で進化を遂げたのが、Youtuberやインスタグラマーと呼ばれる存在です。
「共感マーケティング(ヒト売れ)」の変遷まとめ
インターネットを介した人との繋がりの変化は、以下のようになります。
- 1998年…ホームページなどを通じて企業から個人へ
- 2003年…掲示板を通じて個人から集団へ
- 2004~2007年…mixiやブログサイトを通じて個人から個人へ
- 2008年以降…SNSを通じて個人から集団へ
上記のように、現代は個人間の繋がりではなく、個人が多くの集団に影響を与えられる時代になっているのです。
トレンドセッターによる「共感マーケティング(ヒト売れ)」の変遷
従来は企業が商品を開発し、店頭販売することで売れる時代でしたが、インターネットの進化と共に、モノの売れ方も変化していきました。
ある時代から企業が直接消費者へPRするのではなく、企業から個人、個人から個人へと進化していきます。
本章では、どのようにヒト売れの歴史が形成されてきたのかについて、解説します。
1. カリスマ店員によるヒト売れ
ヒト売れの起源といっても過言ではないのが、カリスマ店員の存在です。
当時、多くの若い女性はギャルと呼ばれるムーブメントに夢中になりました。
その中でも、最新トレンドを作っていたのが『SHIBUYA109』で働くカリスマ店員です。
多くのギャル達は、カリスマ店員の存在に憧れて、彼女たちを真似するようにメイク用品や服、アクセサリーを購入していました。
つまり、当時の女性の間では、カリスマ店員こそがインフルエンサーだったわけです。
雑誌のファッションモデルと比較して「親しみやすさ」があったため、カリスマ店員が注目されたといえます。
2. 読者モデルによるヒト売れ
カリスマ店員の次に人気を得たのが、「読者モデル」の存在です。
これまでのファッションモデルは憧れの対象ではありながらも、さほど親近感はありませんでした。一方で、読者モデルは等身大のモデルであったために、多くの女性は親近感を得るようになったのです。
また、読者モデルは現在のインフルエンサーととても類似する部分があります。
読者モデルのほとんどは、モデルを本業としておらず、学生や社会人などをしながら副業として行っていたからです。
このような「自分に近い存在」であったために、読者モデルが注目され、彼女らのファッションなどを真似して購入していたと考えられます。
3. ブロガーによるヒト売れ
トレンドセッターは、読者モデルの全盛期が過ぎるあたりに、アナログからデジタルへ移行します。読者モデルやカリスマ店員による影響は、実際に店舗に行ったり雑誌をめくったりするアナログなもので、インターネットを介したものではありませんでした。
そこで登場したのが、アルファブロガーの存在です。アルファブロガーとは、ブロガーの中でもとくに大きな影響力を持つ人を指します。
アルファブロガーが購入したファッションアイテムをブログで紹介したりコーディネートを披露したりすると、多くの読者たちはその人たちを真似するようになりました。
4.インフルエンサーによるヒト売れ
アルファブロガーの後任的な存在が、インフルエンサーです。デジタルなトレンドセッターへ移行後、SNSの普及とともにインフルエンサーが絶対的な存在になりました。
インフルエンサーの投稿・発信によってトレンドがシェアされ、SNSを介して簡単に商品・サービスが購入できます。
これまで店舗や雑誌などで真似する対象を探していた人たちが、デジタルで買い物が簡潔するようになったのです。
このようにアナログからデジタルへ変化はしてきていますが、人は人から影響を受けるという点については変わっていません。
過去のトレンドセッターとインフルエンサーの違い
過去から現在まで、人は人から影響を受けるという点に変わりはありません。
しかし、インフルエンサーとその他のトレンドセッターとでは、明らかな違いがあります。
具体的には「影響を与える側」ではなく、「影響を受ける側」の変化です。
過去の影響を受ける側の人々は、カリスマ店員や読者モデル、ブロガーの影響を受ける一方でした。
しかし、現在は影響を受けるだけではなく、自分も影響を与える側になりたいと共感を生み出すようになったのです。
その結果、インフルエンサーの投稿を真似したりシェアしたり、なかには独特の感性で投稿内容を考えたりして、プロモーターとなっていきます。
- 従来:読者モデルやカリスマ店員→消費者という構図
- 現在:インフルエンサー→数十名のプロモーター→消費者という構図
さらに、消費者の中にも「影響を与えたい」と考える潜在的なプロモーターがいるので、より人を介した影響が拡散されていきます。
SNSビジネスは共感による「ヒト売れ」がカギ
過去も現在も、人が人に影響されて商品やサービスを購入するという大まかな流れに変化はありません。
いつの時代も、誰かに影響されて人は商品やサービスを知り、購入に至る「ヒト売れ」の原則があります。
現代のマーケティング、とくにインフルエンサーマーケティングにおいては、この「ヒト売れ」の影響、効果がどれほど強いかを理解しておくべきでしょう。
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