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インフルエンサーマーケティング成功理論-5 「インスタ投稿のエンゲージメントを高める「共感指数」とは? ー 実際のインスタ事例」
最終更新日 2023年10月24日(Tue)
インフルエンサーマーケティングは、SNSで影響力を持つインフルエンサーに商品やサービスを利用、宣伝してもらう販売手法です。
憧れのインフルエンサーが宣伝することで、ユーザーは商品やサービスに親近感と憧れを抱き、購入意欲が高まるためです。
しかし、インフルエンサーマーケティングを活用することでどのような結果が得られるのか、本当に効果があるのか不安に感じる方もいるでしょう。
本記事では、実際に施策を行ったインスタグラムの事例について解説します。
商品パッケージで変わる「印象の値」
最初は、鈴木栄光堂というお菓子メーカーのマーケティング事例です。
岐阜県大垣市に本社を置く同社は、1877年(明治10年)創業の歴史ある製菓会社です。
歴史がありながら、お菓子イノ ベーションカンパニーとして時代に合わせた先進的な取り組みも積極的に採用しています。
2017年には創業140周年を迎え、ひとりじめスイーツとして展開していたチョコレートのパッケージデザインをリニューアルしました 。
そのプロモーションの一環として、Web限定で期間限定スペシャルパッケージ を作成し、SNS上で認知を拡大する試みを始めたのです。
認知拡大のために、以下3つのプランを作成しました。
- 公式アカウントの開設・運用
- キャンペーンの実施
- インフルエンサー施策の実施
プラン①鈴木栄光堂の公式アカウント開設・運用
インスタグラムで同社の公式アカウントを開設し、キャンペーンを展開します。
キャンペーンでフォロワーを増やし、その後でインフルエンサーによるマーケティングを行うというステップです。
ここでカギになったのは、インスタグラムを使ったキャンペーン用のスペシャルパッケージの開発です。
パッケージデザインの変更
リニューアル後のひとりじめスイーツの新パッケージには、商品名と商品写真、 使っている素材の名前が大きくあしらわれていました。
コンビニなどで目を引くために、欠かせない要素が詰め込まれたパッケージデザインです。
同時に、スペシャルパッケージでは全面にストライプ柄を大きくあしらいました。
これは、コンビニの店頭に並ぶ商品では、まず目にしない特異なデザインで、インフルエンサーの意見を反映させたデザインです。
インスタグラムでは、パッケージそのものはシンプルすぎるくらいのほうが自由度は高いので、自分の好みにアレンジして写真を撮ることができます。
また、全面が ストライプのパッケージには、珍しさもあります。
つまり、このスペシャルパッケージを撮影対象とすると、インフルエンサーは『印象の値』 の高い投稿をしやすいのです。
パッケージデザイン変更の成果
私たちの試算では、リニューアル前のパッケージと、ストライプ柄のみのスペシャルパッケージを入れ替えただけで、印象の値は180から1050にまで急増しています。
パッケージでは、商品名や商品写真が目立っていないと目を留めてもらえない、 手にとってもらえないと考える方も多いでしょう。
しかし、それはインスタグラム外の世界の話です。
インスタグラムでは、商品名やその商品に使った素材へのこだわりなどは、キャプション欄でいくらでも表現できます。
つまり、インフルエンサーマーケティングには、新パッケージよりスペシャルパッケージが適しているといえるのです。
プラン②鈴木栄光堂のキャンペーン実施
スペシャルパッケージを準備する一方で、公式アカウントではSNS用のキャンペーンを実施していきます。
ツイッター(現:X)では、フォローとリポストのキャンペーンを展開。
キャンペーン期間はおよそ40日間、参加者には抽選で15人にそのチョコレートをプレゼントすると決めました。
プラン③鈴木栄光堂のインフルエンサー施策
普段からスイーツに関する投稿が多いインフルエンサー28人に、スペシャルパッケージと中身のチョコレートをあしらった写真を使った投稿をしてもらいました。
依頼されたインフルエンサーは、色の配置を工夫したり、コーヒーカップをあしらったりと、それぞれのセンスでスタイリングをして写真に撮ります。
また、コメント欄ではチョコレートの味や食感を書き記す、 「おもてなしにも」など、食べるシーンについての提案も見られました。
これらの記述はインフルエンサー自身による工夫で、企業側から指示をしたものではありません。
依頼したのは、あくまでスペシャルパッケージの露出と、特定のハッシュタグや公式アカウントの記載を含んだ、キャンペーンの告知のみです。
鈴木栄光堂の成果
鈴木栄光堂のインスタ発信のなかには、共感指数が3000にまで達したものもあります。
実際に「食べてみたい」と、購買に直接結びつくようなコメントも多く寄せられました。
結果として、キャンペーン期間中に公式アカウントのフォロワーは1000人増加し、504人がキャンペーンに参加。
鈴木栄光堂という会社とひとりじめスイーツの認知は大幅に上がりました。
もしもパッケージがインフルエンサーやそのフォロワーの撮影意欲、 投稿意欲を落とすようなものであったら、ここまでの数字を上げることはできなかったでしょう。
老舗企業がインスタグラムの特性をよく理解したからこその、 成功事例といえます。
ツイッター(現:X)ユーザーを取り込んだ「承認の値」 の向上
コミックスやアニメグッズの販売を手がけるアニメイトによるアパレルブランド『Super Groupies』の事例です。
アニメ好きやゲーム好きにはよく知られた存在でしたが、広い認知は獲得していませんでした。
そのため、認知拡大と新規顧客の獲得、さらにはブランディン グのため、ライト層のアニメも好きなファッション好きに訴求するための施策を行いました。
具体的には、公式アカウントの開設と運用、 そしてキャンペーンの実施です。
プラン①Super Groupiesの公式アカウント開設・運用
アカウントを開設する上でのコンセプトは「ファッションにアニメを」です。
大好きなアニメを日常のファッションに取り入れ、それぞれのシーンを投稿しました。
インスタグラムでは統一された世界観の写真が並び、新規のアニメユーザーやコアなファッションが好きなユーザーの獲得に成功しています。
プラン②Super Groupiesのキャンペーン実施
フォローと「いいね」をした上で、コメントをした人から抽選で、投稿した写真にあるグッズをプレゼントするキャンペーンをはじめました。
その結果、1098人がこのキャンペーンに参加。
「いいね」とコメントという『承認の値』に焦点をあてたキャンペーンでしたが、 この値に絞ったのには理由があります。
ゲームやアニメのファンは、 ツイッター(現:X)で盛んにコミュニケーションをしている一方で、インスタグラムでの活動は活発に行われていなかったのです。
そのため、フォロワー数を増やそうとしても難しい状況でした。
そこで、まずはゲームやアニメのファンに、インスタグラムという場でも、自由にコメントしてもらおうと考えたのです。
Super Groupiesの成果
キャンペーンの結果、Super Groupiesはツイッター(現:X)などの別プラットフォームのユーザーをインスタグラムに引き込むことに成功しました。
インスタグラムでの『承認の値』は、運用開始前と比較して41倍。
フォロワー数も約8カ月間で1万1900人増加し、平均エンゲージ数は97から507まで大幅に増加しています。
共感指数全体を底上げした再ブランディング
バッグを中心としたアパレルブランド『HeM』の事例です。
1999年のデビュー直後は、学生など10代から20代の若者から大きな支持を得ていましたが、今回は、アパレルブランドHeMの認知拡大とリブライディングを目的としたキャンペーンを行いました。
具体的には、以下のプランを用意しました。
- 公式アカウントの運用
- キャンペーンの実施
- インフルエンサー施策の実施
プラン①HeMの公式アカウント運用
公式アカウントでは、HeMブランドの商品が写っていない写真も織り交ぜて『印象の値』を高く保ちながら、生活に寄り添うブランドであり、高級感がありながら手が届くブランドであるというイメージを創出していきます。
HeMのターゲットである大人可愛いオシャレ女子に合わせて、インフルエンサーのアイデアや意見も反映されました。
プラン②HeMのキャンペーン実施
公式アカウントの運用をしながら、 リポストキャンペーンを展開しました。
リポストキャンペーンを選んだ理由は、公式アカウントの存在を確実に広く知ってもらうためです。
公式アカウントの存在を広く知ってもらうためには、ハッシュタグキャンペーンで 『発見の値』を上げていくという方法もありますが、ハッシュタグを効率的に見つけてもらおうとするなら、まずは『影響の範囲の値』と関係するフォロワーを増やす必要があります。
リポストを利用した方が、広く知ってもらうのに効率的だったのです。
プラン③HeMのインフルエンサー施策
リポストに使える画像は、3種類を用意しました。
- カジュアル
- モード
- ガーリー
この3種類の素材が、今回のキャンペーンに大きな影響をもたらしました。
最終的にキャンペーンに参加したのは284人で、その参加者たちの平均フォロワー数は950です。
インスタグラムユーザーのフォロワー数は、200人以下であることが一般的なので、950人というのは驚異的な人数といえます。
このような効果を生み出したのは、画像を3種類用意したためだと分析しています。
なぜ3種類の画像がこれほどまでに効果を与えたのかについて、以下で具体的に解説します。
インフルエンサーの自由度が高くなる
インフルエンサーは、自分の世界観を保つために、投稿する画像を選びます。
もし、ひとつの画像しか用意されていない場合、自分の世界観と異なった場合にリポストをためらってしまいます。
今回においては、3種類の画像を用意したことで、インフルエンサーが自由に自分の世界を表現できる画像を選べたのです。
その結果、世界観を壊すことなく、これまで築き上げたブランディングに沿ったリポストができたのです。
インフルエンサーとフォロワーの共感
世界観に強いこだわりを持つインフルエンサーほど、フォロワーとの間に強い共感を得ています。
一方で、 無関係にリポストキャンペーンに参加するような、画像の表現する世界観にこだわりの少ないユーザーは、フォロワーも獲得できず、エンゲージメントも高められません。
キャンペーンを展開するなら当然、後者ではなく、前者を増やす工夫をすべきです。
HeMの成果
施策の結果、リーチ数は26万9800にも達しました。
フォロワー数は3週間で1,200にまでに増え 『影響の範囲の値』 が十分に広がったところで、今度は『参考の値』の向上に努めるために、キャプションも工夫し、アカウントへのお問合せやHemの新しい商品の購入が増加しました。
さらに、10年以上前に買ったクローゼットに眠っていたHemのバッグについて、「今年復活できる?」と言及する投稿まで登場し、リブランディングが成功したことがわかります。
共感指数を高めることで広がる販促の輪
共感は意図して作り出すことが可能です。
どんな目的でどんな共感が必要なのかを考え、必要な値を高めることでユーザーの共感を高め、企業としての共感指数も向上します。
その第一歩として、インフルエンサーに共感を与え、インフルエンサーがフォロワーに呼びかけることで、共感の輪が広がっていきます。
インフルエンサーマーケティングといっても、施策はさまざまです。
今回紹介した事例を参考に、共感の輪を広げるためのマーケティング施策を講じてみましょう。
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