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【事例紹介】リテールメディアとは?広告主が参入するメリットをわかりやすく解説
最終更新日 2024年9月17日(Tue)
記事作成日 2024年4月26日(Fri)
リテールメディアの特集を見て、自社でも活用できないかと検討している企業担当者の方が多いのではないでしょうか。海外における市場の伸びを受け、日本でもリテールメディアへの注目が高まっています。
しかし小売業目線での情報提供が多く、広告主としては活用シーンやメリットをイメージしにくいこともあるでしょう。この記事では、主に広告出稿を検討している企業に向けてリテールメディアの活用事例などを紹介します。
目次
リテールメディアとはどんな広告システム?
リテールメディアとは、簡単にいうと「小売業が提供する広告枠」のこと。ただ、これだけ聞いても具体的な活用シーンが思い浮かばない方が多いかもしれません。
ここでは小売業と広告主のそれぞれの視点から、リテールメディアの概要を説明します。広告主としての参入を検討している方でも、小売業目線の概要を知ることで、リテールメディアへの理解がより深まるでしょう。
小売業側
小売業は、広告の枠を用意して広告主に価値を提供する側の立場です。道路などにある看板の持ち主を想像するとわかりやすいでしょう。
店舗やECサイトにある空きスペースに広告を表示し、企業のPRに協力します。
また、小売企業が提供するのは単なる広告スペースだけではありません。自社が蓄積・分析している顧客情報をもとにした、的確なターゲティングシステムなどを提供できることが強みです。
広告主側
小売業が提供する広告枠を利用し、自社の商品やサービスのPRをする側の立場です。店舗が持つ媒体に動画広告やバナー広告などを流してもらい、顧客に商品などの存在を知らせます。
SNSの普及やコロナ禍を経て、顧客の購買行動は大きく変化してきました。テレビCMや誌面広告といった大多数(マス)に向けたアプローチでは、これまでと比べて売上の確保が難しい現状です。
そこで小売業が持つ様々な顧客情報を活用できるリテールメディアで、顧客体験を向上させることに注目が集まっています。
リテールメディアに広告を掲載する4つのメリット
リテールメディアでできるのは、広告を流すことだけではありません。
広告主は従来の広告とはまた違った次のようなメリットを得られます。
- 店舗が持つ顧客情報を活用できる
- 購買意欲が高い顧客にアプローチできる
- クッキーに頼らずターゲティングできる
- 効果を計測しやすい
リテールメディアの魅力を知ると、広告出稿への意欲がさらに高まるはずです。1つずつ詳しいメリットを見ていきましょう。
1.店舗が持つ顧客情報を活用できる
リテールメディアの広告枠を提供する小売企業は、販売業務を通して様々な顧客情報を持っています。
例えばドラッグストアなら、ポイントシステムの利用時にユーザーを識別し、次のような情報を集めています。
- 来店日時
- 利用した店舗
- 購入した品や数
- 過去の来店回数
- 購入価格や累計利用額
広告主は顧客情報を借りる形で、より的確にマーケティングできるでしょう。
特に小売機能を持たないメーカー企業は、このような詳しい顧客情報を入手できる機会がほとんどなく、貴重な参考材料となります。
2.購買意欲が高い顧客にアプローチできる
リテールメディアなら、実店舗でもWebサイトでも購買意欲の高い顧客へピンポイントに広告を届けられます。
例えばコスメショップで会員登録している顧客は、化粧品や美容アイテムへの興味が強いと推測できるでしょう。そこでリテールメディアで化粧品のPRを実施すれば、顧客の興味と一致して購買につながるかもしれません。
また、バラエティショップでカバン売り場を通りかかった顧客は、カバンの購入を検討している可能性が高いです。カバン売り場でカバンに関する広告を流すことで、顧客の購買意欲を逃さずキャッチできます。
このようにリテールメディアでは媒体や出稿場所の工夫により、購買意欲が高いユーザーに向けたマーケティングが可能です。
3.クッキーに頼らずターゲティングできる
クッキー(Cookie)とは、Webサイトへの訪問時に発生した情報を、ユーザーのパソコンやスマートフォンに一時的に記録するシステムのことです。
本来ではクッキーの保存により、ユーザーは「オンラインショッピングで商品を閲覧した履歴が残り、次回アクセス時に購入を検討しやすくなる」などのメリットがあります。また、企業側も「自社のWebサイトにアクセスしたユーザーが別のサイトを訪問した際に、自社の広告が表示される」といったメリットがありました。
しかし近年では個人情報保護の観点などから、このクッキーへの規制が強化されている状況です。そしてクッキーの利用が制限されると、ネット広告のターゲティング精度が曖昧になる可能性があります。
その点、リテールメディアを運営する小売業は、クッキーのシステムを仲介することなく、自社で直接的に顧客の情報を収集しています。広告主が抱えるクッキー規制への課題は、リテールメディアで解説できるでしょう。
4.効果を計測しやすい
テレビCMなどの従来のマス向け広告では「広告を見たうちの何人が商品を購入したか」と客観的に分析することの難しさが課題の1つでした。
しかしリテールメディアなら、顧客情報を起点として簡単かつ正確に効果を測定できます。例えばショッピングアプリの会員に向けた広告出稿なら、次のようなデータを数値で具体的に追えるでしょう。
- 全体のうち何%の顧客が広告バナーをクリックしたか
- 広告を見た顧客のうち何%が商品を購入したか
- 広告出稿から何時間後に商品が購入されたか
- 購入者は普段ショッピングアプリでどのような商品を買っているか
広告効果の仮説を立てて検証を繰り返すために、正確な計測が欠かせません。リテールメディアなら様々な点を数値化でき、経験や勘に頼らない再現性の高い広告運用が可能です。
事例から見るリテールメディアの広告効果をわかりやすく紹介
リテールメディアはあらゆる企業がPRに活用しており、実際に高い広告効果を記録しています。
ここでは、あるコンビニが店舗に導入したディスプレイ型のリテールメディアの事例から、具体的な広告効果を紹介します。
このコンビニでは、店舗のレジ上にディスプレイを設置し、PR映像を流せるよう仕組み化しました。
平均して、映像を流し始めてから4週間後には約70%の顧客にPR商品が認知されています。また、店舗で取り扱いがない商品のPRでも36%の顧客に認知される結果となりました。
ディスプレイでPRした商品のうちどのようなジャンルで認知を獲得しているのかなども詳細に分析し、広告の精度向上に役立てています。
リテールメディア事業の導入事例がある媒体
ここまでの内容で、リテールメディアとはどのような広告手法なのかわかってきたのではないでしょうか。
近年では実店舗・ECサイトともにリテールメディアの機能を備え、私たちの生活にも浸透しています。
実際にどのような形で広告が届けられているのか、具体的に確認しておきましょう。
1.実店舗
実店舗でよくあるのは、ディスプレイ(サイネージ)を活用した広告です。ディスプレイに動画が流れたり、静止画でポップが表示されたりして商品やサービスが紹介されています。
顧客が特定の商品の前を通ったタイミングで動画を流すなどして、単なる「映像の流しっぱなし」にならないようターゲティングしているケースもあるようです。
また、店舗のデッドスペースも広告枠として活用できます。売場とバッグヤードを分ける扉にディスプレイを取り付け、新たな広告場所とするのです。ディスプレイの高さを工夫することで、顧客の目線に合わせた動画配信ができます。
2.ECサイト
ECサイトでは、商品検索の結果画面などにメーカーの広告を掲載しています。ECサイトのデザインに溶け込む自然な広告をデザインできるため、顧客は違和感をほとんど持たずにクリックしてくれるでしょう。
さらに、ECサイトを運営する企業の他サービスにも広告を流用できる点が特徴的。例えば大手ECサイトを手がけるA社では、ライブ配信プラットフォームや動画視聴ツールなどの関連サービスにも広告を配信し、顧客とメーカーの接点を増やしています。
リテールメディアに広告出稿している企業の事例
ここからは、具体的な活用事例を見てリテールメディアへの出稿イメージを固めていきましょう。
実店舗とECサイトで計4つの事例を紹介します。
1.バラエティショップでショート動画広告を活用
バラエティショップの商品棚近くにディスプレイを設置し、ショート動画を流している事例です。
特に化粧品の動画では、商品を使っている様子やリアルな色味などを映像で表現し、より「魅せる「伝わる」情報を提供できます。
動画を広告に使う利点は、色々な媒体に素材を流用できることです。Webサイトに動画を埋め込んだり、SNS広告でたくさんのユーザーに見てもらったりと、顧客との接点を増やすための手段を増やせます。
2.スーパーマーケットのアプリで食品を訴求
ドレッシングなどを作っている某食品メーカーは、スーパーマーケットのアプリの中で広告を出稿しました。この企業では顧客のニーズに刺さるマーケティングをするにあたり、不特定多数に向けたマス広告に課題を感じていたそうです。
そこでスーパーマーケットの公式アプリなどに、複数パターンの記事広告を配信しました。顧客の悩みをピンポイントで言い表した3パターンの広告を作ったのです。
その結果、広告を見た人とそうでない人とを比べて、商品の購入率が15倍も変わることがわかりました。
3.コンビニ公式アプリと実店舗の連動
某コンビニの公式アプリでは、店舗で使えるクーポンを配信。アプリには決済機能も備えているので、顧客の行動を詳しく分析できます。
その商品を過去に購入したことがあるユーザーをピックアップし、再購入をうながす手法をとりました。
ただ、ピンポイントな分析のあまり「しつこい」広告にならないように意識しているそう。顧客の好みにピッタリ合う広告を流しすぎても「なんでそんなに自分のことを知っているの?」と怖い思いをさせてしまうためです。
そのためこのコンビニでは配信の頻度やタイミングに気を配り、顧客が気持ちよく広告を受け取れるよう工夫しています。
4.化粧品ブランドのECサイト活用
某化粧品ブランドでは、モール型の大手ECサイトに広告を出稿しています。ECサイトのトップケージに大きく、ライブコマースや新商品の案内を掲載するといった広告スタイルです。
この化粧品ブランドとECサイトでは、将来的に「ID連携」に取り組むことを見据えています。化粧品ブランドの自社IDとECサイトの登録情報とを紐付け、さらに詳しい購買行動を分析できるようにするのです。
ID連携により「デパートのコスメカウンターの利用者はECサイトを使っているのか?」「コスメカウンターとECサイトを併用する顧客はどちらで購入することが多いのか?」といった分析ができるようになります。
コスメカウンターやECサイトでそれぞれどのように広告を出すべきか分析でき、精度の高いマーケティングへつながるでしょう。
まとめ:記事のポイントをおさらい
《この記事のポイントを再確認!》
☑️リテールメディアとは、小売企業がメーカーに広告スペースを提供するビジネスモデル
☑️メーカー側がリテールメディアに広告を出稿するメリットは主に4つ
①店舗が持つ顧客情報を活用できる
②購買意欲が高い顧客にアプローチできる
③クッキーに頼らずターゲティングできる
④効果を計測しやすい
☑️ECサイト・実店舗どちらもリテールメディアとして活用されている
☑️動画型、クーポン配布型、バナー掲載型など形を問わず様々な広告を出稿できる
ドラッグストアやコンビニなど、あらゆる小売企業がリテールメディアを構築しています。さらにメーカー側も、食品から化粧品まであらゆる商品の訴求でリテールメディアを活用し始めました。
街中の看板や電車内の広告と大きく違うのは、小売企業側が集めた顧客情報をもとに広告配信のターゲティングができること。例えばドラッグストアなら、会計時にポイント付与の手段として会員アプリを読み取り「普段からよくお茶を好んで買っている」といった購買行動を収集しています。
小売機能を持たない企業では、こういった顧客情報を正確につかむことが簡単ではありません。そこで小売企業が構築するリテールメディアの力を借りれば、広告出稿の効果を最大化できるでしょう。
近年では、あらゆる小売企業がオリジナルのリテールメディアプラットフォームを作り、広告事業を展開しています。例えば食品メーカーならスーパーマーケットのリテールメディアで広告を出稿するなど、自社と相性の良いプラットフォームをぜひ探してみてはいかがでしょうか。