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製品開発で使えるフレームワーク7選!Amazonに学ぶ新たな思考法も徹底解説
最終更新日 2024年9月6日(Fri)
記事作成日 2024年5月21日(Tue)
「製品開発を進めたいけれど、何から手をつければ良いかわからない」と悩んでいませんか?
チームで考えを共有したり、製品開発で次に取り組むべき道筋を考えたりするのに、フレームワークが役立つでしょう。
本記事では、現場でよく活用される5つのフレームワークと、近年注目されているAmazon流の製品開発メソッドを紹介します。
これらのフレームワークをうまく活用し、製品開発でモヤモヤしていることをぜひ言語化してみてください。
目次
製品開発の主な流れ
製品開発は主に次の6ステップで進みます。
- 市場リサーチ
- 商品のアイデア出し
- ターゲット・コンセプトの設定
- 商品開発の企画立案
- テスト開発
- ローンチ・マーケティングの実施
これらのステップを順にこなしながら、アイディアがまとまらずに行き詰まることもあるでしょう。しかしフレームワークに沿って考えを深めることで製品開発のヒントを得られます。
そもそもフレームワークとは、課題の洗い出しなどをスムーズに進めるために用意された、思考の骨組みのことです。情報の整理や意思決定に関する材料集めを目的に、製品開発ではよくフレームワークが活用されています。
製品開発でフレームワークを活用する3つのメリット
製品開発をするにあたり、アイデア出しから市場投入までのプロセスが複雑に感じることもあるでしょう。ただ、フレームワークで思考を助けることで、次のようなメリットが生まれます。
苦手に感じる段階がある方こそ、ぜひフレームワークの力を借りてみましょう。
1.思考の時間を短縮できる
製品開発では、数多くの意思決定が必要です。どのような市場に参入すべきか、そのような競合製品があるのかなど、思考すべき項目は多岐にわたります。
フレームワークを活用することで、これらの思考時間を大きく短縮できます。
フレームワークでは、思考のステップや挙げるべき情報が型となって最初からまとまっているからです。例えば「最初にこの情報を並べる」「次にこのように並べ替える」というように、思考の手順が明確化されています。これにより、開発チームは最小限のステップで物事を考えられて、スピーディな意識決定を叶えられるでしょう。
2.考えるべきことが明確になる
フレームワークでは、ピックアップすべき情報を明確に示してくれています。そのため何を考えるべきか迷わず、スムーズにアイディアを出せるようになるでしょう。
例えばマーケティングを行うために「環境」について考えるとします。このとき、一言で「環境」といっても、どのような軸を持って情報を整理すればいいのか、製品開発に慣れない人では困るかもしれません。
その点フレームワークで「どのような環境について、どのような項目で評価すれば良いのか」がわかると、製品開発を楽に進められます。
3.開発チームで考えを共有できる
開発チームがフレームワークを共有することで、全員が同じ方向を向いて進むことができます。具体的なプロジェクト目標や優先事項がフレームワークで言語化され、一貫した方針のもとに動けるようになるからです。
これにより、開発プロセス全体がより効率的に進行し、成果を上げやすくなります。
また、話し合いの際などは、フレームワークにより思考が整理された状態でコミュニケーションをとれます。情報が整理される前のメモ書きなどを参考にするよりも、わかりやすく簡潔に話し合えるでしょう。
【定番】製品開発で用いられるフレームワーク5選
さらにフレームワークは、場面や目的によって使うべき内容を使い分けてこそ、製品開発を円滑に進められます。
ここでは、代表的なフレームワークの使い方や活用シーンを紹介します。自社が苦手としているテーマに合わせて、ぜひフレームワークを使ってみてください。
1.SWOT分析
SWOT(スウォット)分析は、ピックアップすべき次の項目の頭文字から名付けられました。
- Strength(強み)
- Weakness(弱み)
- Opportunity(機会)
- Threats(脅威)
製品やビジネスの内部・外部部環境を評価するためのフレームワークです。自社の「強み」「弱み」、市場の「機会」「脅威」を書き出して整理することで、これから作る商品やサービスでとるべきポジションなどが浮かび上がります。
2.3C分析
3C分析では3つの「C」を指標にして、市場環境について把握します。
項目 | 把握項目の例 |
Customer (顧客や市場) |
・市場規模 ・市場の成長可能性 ・ニーズ ・顧客行動 |
Competitor (競合) |
・競合他社のシェア状況 ・競合他社の強み ・代替可能性 ・ベンチマークできる企業 |
Company (自社) |
・自社のシェア状況 ・強み・弱み ・戦略の特徴 ・製品ラインナップ |
ポイントは、3つの項目に沿って事実のみを洗い出すこと。事実に対する解釈は「SWOT分析」で考えを広げるため、分析が混同しないように注意しましょう。
そのため3C分析の位置付けは、SWOT分析に入る前のファクト集めという認識です。
3.4P分析
4P分析では、マーケティング施策の具体化を進められるフレームワークです。4つの「P」を書き出し、ターゲット市場にアピールするための戦略を考えます。
項目 | 考えること |
Product (製品) |
どんな製品・サービスを市場に売り出すのか |
Price (価格) |
適切な価格はいくらほどか |
Place (流通) |
・どの地域に売り出すのか ・倉庫や拠点は必要か ・どのような流通手段が最適か |
Promotion (販促) |
認知や購入促進につなげるにはどうすれば良いのか |
SWOT分析・3C分析で市場の現状を明らかにした後に、4P分析で商品を売り出す方法を掘り下げます。商品開発のほか、リリースした商品の販売戦略を見直す際にも活用できるでしょう。
競合商品について4P分析で深掘りしても、自社商品との違いを知るために興味深い視点を集められるでしょう。
4.MVV
MVVは、次の3つの項目でプロジェクトの理念などを可視化するフレームワークです。
- Mission:製品が成し遂げるべきゴールやその理由
- Vision:将来的に目指す姿
- Value:核となる信念や行動指針
開発プロジェクトの立ち上げ段階では、これから追求すべき価値観をチームメンバーが具体的に理解できずにいる可能性があります。そのため早いうちにMVVを言語化し、チームに共有することが望ましいです。
「市場でどのような立ち位置を目指すのか」という点もMissionやVisionに関連するので、先にSWOT分析・3C分析を済ませておくと良いでしょう。
5.STP分析
STP分析は、自社で確立すべき立ち位置を明らかにするのに役立ちます。マーケティング戦略を考える前の段階で取り組んでおくと、その後の分析をスムーズに進められるでしょう。
STP分析の手法は、次の3ステップにわかれます。
- Segmentation:市場を細分化(セグメント分け)する
- Targeting:細分化したセグメントの中から狙うべきターゲットを見極める
- Positioning:自社が実現すべきポジションを明確化する
「Segmentation」では一般に、地理・属性・心理・行動の4つの指標で市場への理解を深めます。政府による地理情報や、マーケティング会社が発表するライフスタイル調査などを参考に、根拠ある細分化をぜひ意識してみてください。
製品開発で使えるAmazon式フレームワーク「 Working Backwards」
ここまで紹介したフレームワークは、どれも数十年前に経営学者や経営者によって提唱されました。
最近ではAmazonが活用する独自のフレームワーク「 Working Backwards(ワーキング・バックワーズ)」にも注目が集まっています。
これは、Amazonが新しく製品やサービスを作る際に使っている手法で、一般企業でも参考にできる内容です。「 Working Backwards」を使った考え方を詳しく確認しておきましょう。
1.Thinking Backwards
「Thinking Backwards(シンキング・バックワーズ)」は、逆算思考で製品開発を進めるためのフレームワークです。次の5つの質問に答えて、ユーザーが望む体験を明確に示すことがポイントです。
- お客様は誰ですか?
- 現在の課題と新しい可能性は何ですか?
- お客様にとっての最大のメリットは何ですか?
- お客様のニーズやウォンツをどのように知りましたか?
- お客様の未来はどのように変わりますか?
(出典:AWS Tech talk Night#1 ~Amazon メカニズムによるイノベーション創出からプロトタイプ開発まで~)
この考え方により「企業がどのような製品を提供したいか」ではなく「ユーザーが本当に必要とするのはどのような製品か」を逆算して開発を進められます。
2.プレスリリース
通常なら製品をリリースするタイミングで準備するプレスリリースですが、Amazonでは開発に入る前の段階で書き上げています。ユーザーに提供すべき価値を先に言語化することで、最初にゴールを設定できるためです。
プレスリリースで示したゴールからさかのぼる形でプロジェクトの詳細を詰められ、無駄のない開発プロセスを歩めるようになります。また、チーム内で理想とすべき製品の姿を共有するのにも役立つでしょう。
プレスリリースとはいっても、多くの情報を詰め込む必要はありません。「アイディアを共有すること」を念頭に置き、文書1枚程度のシンプルなプレスリリースを目指しましょう。
3.FAQ
FAQは、よく取扱説明書や公式サイトに製品の補足説明として掲載されるコンテンツです。しかしAmazonでは開発段階でFAQを詰め、社内外から追求されそうな疑問に先手を打っています。
「よくある質問と回答」の形式で懸念される課題を総合的にフォローし、アイディアを評価することが目的です。
Amazonでは社内向け・社外向けに分けてFAQを作成しています。プレスリリースをシンプルに仕上げる分、FAQでは図表も使いながらわかりやすくまとめることが特徴です。
ワーキングバックワーズのフレームワークで製品開発を進めた事例
Amazonの製品開発では、2004年ごろから「 Working Backwards」のプロセスが活用されています。実際に、多くの人が聞いたことのある著名なサービスも、「 Working Backwards」で思い描いた顧客体験をヒントに逆算的に開発されました。
ここでは、「 Working Backwards」を経て開発された、実在するプロダクトを紹介します。
1.Kindle
Kindle(キンドル)は、Amazonが開発する、電子書籍リーディングに特化したデジタル端末です。「 Working Backwards」の手法が始まってすぐ、最初期の段階でKindleが開発されました。
当時は、電子書籍を読むための主な手段がパソコンに限られた時代。しかしパソコンを使った読書は決して快適ではありませんでした。そこで「電子書籍リーダーが読書体験の邪魔にならない」という点をゴールに、Kindleや電子書籍を逆算的に整えたのです。
「 Working Backwards」の初期段階であったためプレスリリースなどのフォーマットはまだ固まっていませんでしたが、この頃の取り組みがAmazonの製品開発の礎となりました。
2.Amazon Echo
KindleをはじめとするAmazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス)の開発でプレスリリースの取り組みが固まってきた後、FAQのステップが加えられました。
例えばスマートスピーカーのAmazon Echo(アマゾンエコー)も、詳細なFAQを作成しながら開発されています。
従来の製品開発では、アイディア共有の資料作りで「企業視点の情報整理」になりがちです。しかしAmazonではユーザーの視点からアイディアを出し、FAQを使って顧客体験を言語化しました。
「この端末では何ができるの?」「そもそもどこで購入できるのもなの?」といった、企業目線では見落としそうな小さな疑問も拾い上げ、FAQでまとめていたそうです。
まとめ:記事のポイントをおさらい
《この記事のポイントを再確認!》
☑️製品開発をスムーズに進めるにはフレームワークの活用がおすすめ
☑️代表的なフレームワークと活用場面は…
①SWOT分析:ビジネスを取り巻く内部・外部環境の評価
②3C分析:市場に関する事実整理
③4P分析:マーケティング施策の具体化
④MVV:理念や価値観の明確化
⑤STP分析:自社が獲得すべき立ち位置の検討
☑️Amazonが活用する手法「 Working Backwards」も製品開発で応用できる!
製品開発やビジネスシーンでは、本記事で紹介した以外にもさまざまなフレームワークが使われています。自社がどのような情報を精査したいのか明らかにした上で、目的に合ったフレームワークをぜひ活用していきましょう。
最近ではAmazonが製品開発で実際に活用している思考プロセス「Working Backwards」を参考にするケースもあります。
- Thinking Backwards
- プレスリリース
- FAQ
この3つを製品開発の初期段階で言語化し、提供すべき顧客体験からタスクを逆算するのです。プレスリリースなどの資料を用いて開発チームで確かな軸を共有したり、逆算思考で顧客第一な製品開発が叶ったりする点が「Working Backwards」の特徴。
製品開発のプロセスに課題を感じている企業担当者の方は、ぜひ「Working Backwards」を取り入れてみてくださいね。