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ウォルマートに学ぶ!リテールメディアとインフルエンサーの新潮流
最終更新日 2024年9月17日(Tue)
記事作成日 2024年4月19日(Fri)
リテールメディアが注目される昨今、米国流通No.1のウォルマートがインフルエンサーを起用したデジタル広告を積極的に打ち出しています。すでに競合Amazonは大規模なインフルエンサーのチームづくりが進んでおり、海外ではリテールメディア展開が加速中です。
この記事では、インフルエンサーと協力して広告プロモーションを行うウォルマートのメディア像に焦点を当て、リテールメディアの仕組みや広告効果、新たなプラットフォームとしての可能性に迫っていきます。
目次
リテールメディアとは何か
リテールメディアはオンラインやオフラインのプラットフォーム上で展開される、新たな広告サービスです。
近年、新しいメディアチャネルとしてその存在感を増しており、自社サイトや実店舗を活用した独自のアドテクノロジー(広告システム)を導入する動きが見られます。
リテールメディアとは
リテールメディアとは、具体的に小売業者が保有、展開する広告媒体のことです。
媒体には「オンラインショップ系」と「実店舗系」の2種類があり、さらにオンライン系はECサイトやアプリなどに分けられます。
【広告例】
オンラインショップ系 | 実店舗系 |
ECサイトのディスプレイ広告 (バナー広告) ECサイトでの動画広告 SNS広告 |
デジタル看板 (デジタルサイネージ) レシート広告 店内チラシ 店内POP |
海外の代表例としてオンラインショップ系はAmazon、実店舗系はウォルマートが挙げられます。
顧客が実際に購買行動を起こすポイント地点で広告表示をすることで、他の広告メディアと比較して高いコンバージョン率を期待できるのが特徴です。
リテールメディア今なぜ注目されているのか
リテールメディアが注目される背景には、以下の3点が挙げられます。
- Cookie規制による顧客データの情報収集への課題
- 効果的なプロモーション・ターゲティングを実現
- 加速するリテールメディア市場規模の拡大
Googleは2023年5月、プライバシー保護の観点からサードパティCookie廃止を表明しました。個人情報保護による法規制は今後ますます厳しくなり、従来の方法では具体的なターゲット層への訴求ができなくなると考えられます。
Cookie規制から切り離した独自のリテールメディアを持ち、小売業者が保有する大多数の顧客データを活用することにより、広告主は効果的な販売促進が可能となります。
また、海外でのリテールメディア市場の経済成長は著しく、2028年にはTV広告を上回るとの推測も出ているほどです。市場の成長性について、次章で具体的に見ていきましょう。
リテールメディアの市場規模と将来性
海外と比較すると日本のリテールメディア市場は断片的ですが、特にアメリカをはじめとする西洋諸国では、活発なメディア利用が進んでいます。AI技術の導入も進み、多くの潜在的な成長余地が期待されており、小売業界におけるマーケティング戦略の重要な一翼を担うでしょう。
リテールメディア市場の海外と日本の比較
株式会社CARTA HOLDINGSと株式会社デジタルインファクトの共同調査によると、2022年の日本のリテールメディア市場は135億円規模とされています。日本の導入例としては、実店舗系の小売企業が目立っています。
一方で、世界での市場規模は約12兆円と言われており、ECサイト上でのオンライン展開が積極的です。
リテールメディア市場の将来性
また、同調査によれば日本のリテールメディアの市場規模は、4年後の2026年には約6倍の規模に拡大すると予測されています。
(出典:株式会社CARTA HOLDINGS「CARTA HOLDINGS、リテールメディア広告市場調査を実施 ~リテールメディア広告市場は2022年に135億円、2026年には805億円と予測~」)
デジタルサイネージ、オウンドメディアともに順調に右肩上がりの状況で、今後も続くテクノロジーの発展によって成長を続けていく分野でしょう。
ウォルマートのリテールメディア事業とは
近年、米国最大の小売チェーンであるウォルマートが、リテールメディアを積極的に活用していることが注目されています。ウォルマートは世界19カ国に10,500店舗以上を出店し、実店舗系の代表例としてはもちろん、実はECサイト系のリテールメディアとしても成功をおさめている企業です。
本章では、ウォルマートによるリテールメディア市場規模と特徴を探っていきましょう。
ウォルマートのリテールメディア売上高
2022年度のウォルマート全体の売上高は6,113億ドル(88兆6,385億円)でした。そして、リテールメディア売上が27億ドル(前年比+40%)となっており、これは日本円にして約3,800億円になります。
全体の売上高こそ前年よりも伸び率はわずかであったものの、実店舗での販売促進と比較してリテールメディアの広告としての収益性が高く、利益として重要な割合を占めているのは事実のようです。
ウォルマートが打ち出すリテールメディアの特徴
2021年1月、ウォルマートは広告プラットフォームを「Walmart Connect」と改名し、再編成しました。広告プラットフォームで米国のトップ10を目指すことを掲げ、驚異的なスピードでリテールメディア市場を成長させています。
ウォルマートのリテールメディアの特徴は、実店舗とECサイトを融合させたオムニチャネル戦略を行っていることです。実店舗とECサイトそれぞれを単体で考えるのではなく、2つを統合することで業績を伸ばすというものでした。
現に、競合Amazonが米国のスーパーマーケットチェーンである「WHOLE FOODS MARKET」を買収しております。これは、ECサイトだけでの広告事業には限界があり、リテールメディアの延伸ではないか、と言われています。
ウォルマートに学ぶリテールメディアの広告手法
ウォルマートのリテールメディア事業を飛躍させた背景には、「オムニチャネル」以外に、ウォルマートが重視する「顧客主体」という軸がありました。
Web上の広告プラットフォームは、企業や商品・サービスのPR感が出てしまいますが、上手く顧客の心を掴んでいるようです。
ウォルマートが考えるリテールメディア像
ウォルマートは「リテールメディア事業」を1つの収入源として非常に重要視していますが、企業主体で広告数を増加させることは考えていません。
広告と言うと企業主体になってしまいがちですが、重要なのは「顧客中心の方法で行うこと」だとしています。
例えば、オンラインで一度商品を閲覧した顧客に対して、その後の店舗訪問時に使える特別なクーポンを表示させることで、お得感を提供しているのです。顧客主体でありつつ、オムニチャネルでの接触点の最適化にも寄与します。
顧客は自分に合わせたサービスを受けることができ、長期的な関係構築にもつながります。
顧客体験を向上させる店舗内マーケティング
また、実店舗での広告は、売上に貢献する仕組みを構築しています。
- 店内放送
- デジタルサイネージ
- ターゲットに合わせたクーポンや割引情報
- 特定の商品を目立たせるプロモーションスペースの配置
- レジ周辺の小型の広告ディスプレイによるクロスセル(*1)やアップセル(*2)
*1:その商品に関連する別のアイテムも購入させる手法
*2:その商品の販売単価を上げる手法
実際に足を運ぶ実店舗は、オンラインよりもさらに顧客の購買意欲が高いと言えます。
消費者が商品を手に取りやすい場所で関連商品やお勧め商品の情報を提供することで、購買意欲の喚起を図り、より多くの商品が売れるよう施策が施されています。
ウォルマートがリテールメディアにインフルエンサーを起用する理由
そして、弊社が特に注目したいのは、ウォルマートのリテールメディア領域でインフルエンサーの活用が積極的に進められていることです。ウォルマートでは、前章でお伝えした「オンライン」「オフライン」いずれにしても、いち早く情報を伝えられる「動画」でインフルエンサーを起用しています。
これには、ウォルマートが自社の動画配信フォームを保有していないことが強く関係しているとみられ、TikTokなどの動画プラットフォームとの連携を強化する傾向にあります。
従来の広告プラットフォームからのメディア変遷
ウォルマートがインフルエンサーをリテールメディアに取り入れる背景には、従来の広告プラットフォームであるGoogleやMetaからのメディアの変遷があります。
近年、広告の過度な出現による消費者の閲覧疲れや、Cookie規制問題で、古い形の広告モデルの限界が顕著になっています。
また、現代のデジタル社会による情報処理は、数秒で多くの情報を伝えられる動画が最適です。
ウォルマートはこの点を捉え、より直接的で自然な形で顧客にリーチできるインフルエンサーを活用して、新しい広告戦略を展開しているのです。
ウォルマートとインフルエンサーの相乗効果
ウォルマートのインフルエンサー導入は、単なるマーケティング手法を超えたパートナーシップの構築を意味します。
インフルエンサーは自身の影響力を使って、ウォルマートのブランドイメージを向上させると同時に、ウォルマートはインフルエンサーに対して独自のプラットフォームを提供することで関係強化に繋がります。
企業とインフルエンサーを繋ぐ弊社でも、新たなインフルエンサー市場として、リテールメディアの動向や在り方に大きな期待を寄せています。
商品・サービスプロモーションでの顧客体験向上
商品やサービスのプロモーションにインフルエンサーを採用することで、ウォルマートのリテールメディア像とする「顧客体験」をより一層向上させることができます。
特に化粧品や美容商品などは、インフルエンサーが商品の特徴や使い方を、個人の効果や感想を交えながら伝えられるので、よりリアルで魅力的なストーリーを提供できるでしょう
【ショート動画活用方法の例】
- 店頭サイネージへのショート動画投影
- ECサイト、オウンドメディア、会員サイトなどへのショート動画掲載
このようなストーリーテリングは、ただの広告以上の価値を顧客に与え、強いブランドロイヤリティを生み出す原動力となります。
これらのことから、今後リテールメディアは日本でも急伸し、市場拡大とともにインフルエンサーの活躍の場としても影響を与えることでしょう。新たな広告を模索する企業の担当者様はもちろん、インフルエンサーのみなさんも新潮流として目を付けておくべき分野です。
まとめ
この記事では、リテールメディアの概要や市場規模の現状と将来性について解説し、ウォルマートの例を挙げながらインフルエンサー市場へ与える影響をお伝えしました。
海外と比較すると、日本でのリテールメディアは実店舗系の参入が目立ちます。しかし、実店舗を強みとするウォルマートではオムニチャネルを重視し、実店舗とECサイト双方のリテールメディアで成功を収めています。
店頭でのデジタルサイネージ、ECサイトでの動画広告いずれにしても、今後の日本ではインフルエンサーのショート動画コンテンツはより注目されていくでしょう。
広告を打ち出す企業も、そしてインフルエンサーのみなさんも、これから普及・拡大していくリテールメディアに先駆け、早いうちに施策をすることが成功の鍵となります。
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