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最終更新日 2025年3月7日(Fri)
記事作成日 2024年2月27日(Tue)
「コミュニティマーケティングについて最近よく聞くけど実際どうなの?」
「競合他社のコミュニティと差別化するにはどうすればいい?」
「どうすれば効果的にコミュニティを運用できる?」
インフルエンサーや企業を起点とした「コミュニティマーケティング」が近年盛り上がっています。しかし、ノウハウをまとめた参考書やセミナーが乏しく、実践のイメージがついていない企業担当者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、コミュニティマーケティングのノウハウを網羅的に紹介していきます。
コミュニティとマーケティングの掛け合わせで、一般ユーザーとの接点作りなどの可能性を広げていきましょう。
目次
「コミュミュニティマーケティング」とは、簡潔にいうと、企業が主体となりユーザー同士がつながる「コミュニティ」を用意し、コミュニティが活性化することで商品・サービスのマーケティングに繋げる取り組みのことを指します。
そもそも従来の意味での「コミュニティ」とは、消費者同士、横のつながりのみの集まりを意味しています。
同好会のようなイメージで、ユーザーが自由に話題を作って会話できる掲示板や、有志による交流サイトなどが例として挙げられます。これらは趣味の延長に近い感覚で自然発生するものであり、企業の介入はありません。
「コミュニティマーケティング」では、このコミュニティを企業主体で用意します。
ここで意味する「コミュニティ」とは、同じ価値観を持ったユーザーの集合体のこと。コミュニティに対してアプローチすれば、企業はメンバーの感情をまとめて吸い上げることができます。コミュニティ内で得た情報・データは、マーケティング活動に活かすことが可能です。ユーザーにとっては、コミュニティ内で同じ価値観を持った他者とのつながりが生まれ、満足感を得られます。
コミュニティマーケティングの具体例を一つ挙げてみます。
クリエイティブ性の高いブロックおもちゃを開発している某社では、ユーザーが作品を発表したり、創作アイディアの情報交換をしたりできる、オンラインの交流場所を提供しました。このオンラインコミュニティにより、直接顔を合わせるわけでなくとも、ユーザー同士での交流の機会が生まれ、まさに「横のつながり」へと寄与しています。
コミュニティが活発化するほど、ユーザーからの期待感が高まったり、より熱量の高いファンに成長したりと、ブランド価値の向上につながるでしょう。
このようなコミュニティマーケティングに取り組む企業は、SNSが登場して以来年々増えており、近年では目新しいものではなくなっています。
コミュニティマーケティングと似た言葉で、混合されがちなものに「ファンマーケティング」があります。ここで、ファンマーケティングとコミュニティマーケティングの違いについても整理しておきましょう。
有志によるコミュニティや、前述したような企業主体のコミュニティにおいては、「横のつながり」の存在が価値の鍵を握っています。対して混同されがちな「ファンマーケティング」では、ユーザー同士の横のつながりはほとんどありません。
コミュニティマーケティングがユーザー同士をつなぐ「n 対 n」の構造であるとしたら、ファンマーケティングとは、企業が多数に向けて発信する「1 対 n」の構造と表現できます。
ファンマーケティングでは、自社の商品やコンテンツに対して熱狂的な好意を持ったユーザー(ファン)に対して、企業側が価値提供を行います。
例としてわかりやすいのが、芸能人とファンの構図です。例えば、YouTubeでファンに向けて動画コンテンツを提供したり、ファンクラブという特別感のある場を設けたりしています。
これらは、基本的に企業による一方向的なアプローチです。YouTubeを使った発信では、ファンはコメント機能で動画への感想を送ることはできても、ユーザー同士がお互いの顔を知ったり、仲良くなって新たな関係を築いたりといった交流はほぼ不可能です。
運用の目的は、あくまでファンの忠誠心を維持し、好意的な気持ちを育てることであり、コミュニケーション機能までは担っていません。交流を楽しみたいファンはSNSなどを使った自発的なコミュニケーションをスタートし、企業の管理下を離れてしまいます。そうなると、ファンの発信や関係構築を企業が自らコントロールすることは難しいでしょう。
コミュニティマーケティング、ファンマーケティングそれぞれの特徴と違いについて、なんとなくイメージができたでしょうか。これらを活用し、マーケティングの効果をさらに拡大するにはどうしたら良いのかについて、詳しく見ていきます。
コミュニティマーケティングは、2000年代に入ったころから取り組む企業が増え、目新しい運用モデルではなくなってきました。
企業側が「特定の商品が好きな人専用のコミュニティ」とオフィシャル化していなくても、コミュニティに準ずる集まりが自然発生することも増えています。SNSで特定の趣味を持った界隈(クラスタ)が生まれるなど、コミュニティの存在が身近なものになっているのです。
そこで他社と差をつけ、ユーザーに新鮮な価値を提供するには、コミュニティマーケティングのみでなく、「ファンコミュニティ」の運用も併せて検討することが効果的です。
「ファンコミュニティマーケティング」とは、ブランドと共通のビジョンを持ったユーザーにアプローチし、新たな経済を構築することです。コミュニティマーケティングとファンマーケティングの良いところを合わせ、弱点を補ったようなイメージの新たなアプローチ手法だといえます。
企業はまず、商品やコンテンツのファンを主にオンラインへと集めます。そしてファン同士の繋がりや交流が生まれるよう促し、コミュニティ化することが特徴です。企業からファンへの一方向での発信にとどまらず、従来のコミュニティの「横のつながり」の役割も兼任するのです。
ここまででは、「コミュニティマーケティング」と何が違うの?と思われたかもしれません。
従来のコミュニティマーケティングは、経済化できたとしても、メンバーの満足度を高めたことで発生する、いわば内向きの限定的な売上にすぎませんでした。
しかしファンコミュニティでは、メンバーによる積極的な交流やオープンな発信で、ファンコミュニティ外にいる見込み顧客の興味を惹きつけられれば、新規の売上を拡大させることができるのです。
この側面に注目することで、「ファンコミュニティマーケティング」の新たなマーケティング手法の概念が見えてきます。
ファンコミュニティマーケティングでは、細分化された個々の価値観に対し、ピンポイントでアプローチすることができます。
企業が持つファンコミュニティによる経済圏を、「オウンドコミュニティ」と呼びます。1つずつは小さな集まりでも、自社でいくつものファンコミュニティを持つことが、次世代のマーケティングでは重要です。それぞれのファンコミュニティにある独自の価値観により、異なる価値観を持ついくつものユーザー層へアプローチすることができるからです。
今までのマーケティングは、価値観よりも立場(属性)に重きを置いたターゲット思考でした。例えば、料理に関する発信の対象者なら、「主婦」や「女性」といった立場(属性)に絞りがちなのがターゲット思考です。
しかし、多様な価値観が生まれた現代では、特定の立場(属性)に向けた一斉のアプローチ手法には限界があります。主婦や女性といった立場だけでなく、「時短料理をしたい」「ヘルシーレシピを求めている」「インスタ映えする料理を作りたい」といった、多様化したニーズまで捉えることが重要になっています。
特定の属性にまとめてアプローチするマス広告的な手法が効きづらくなったのは、SNSによって、多様化するニーズが浮き彫りになったためです。
そこで、ファンコミュニティでは、「コミュニティ化」と「価値観をベースとしたファン集め」の両者を掛け合わせることが重要です。ユーザーに価値観をベースにした共感や、ファン同士の交流による新たな気づきなどを提供できるのです。
ファンコミュニティマーケティングは、従来のマーケット手法の弱点の解決にも寄与することができます。
従来は、市場や顧客のニーズを理解し、それに基づいて製品やサービスを開発する「マーケットイン」の手法が多く取られていました。
しかし価値観の多様化により、近年では、ニーズが生まれ変わるサイクルが激しくなり、トレンドをキャッチした頃には話題の鮮度が落ちているといった弱点が生まれています。
商品開発の途中で次のニーズ や価値観が生まれているケースもあり、供給した頃にはすでにトレンドとして遅れをとっていることも。
ファンコミュニティマーケティングは、このようなマーケットインの弱点を克服することもできます。企業がそのマーケット(オウンドコミュニティ)に飛び込むことができ、ユーザーの動きをコミュニティの内部で観察することで、最新かつ多様な価値観を把握できるからです。
また、企業も含めた交流機能により、 ユーザーと一緒に商品を作り出すことも可能です。
市場のニーズをキャッチしてからローンチを検討するのとは異なり、コミュニティ自体が「新たな経済圏」となり、その中で新たなニーズを生み出すのです。
企業がコミュニティの内側に立ってファンの動向に目を光らせることで、競合他社の嗅覚よりも鋭く・素速く経済化できるでしょう。コミュニティ(市場)の中から直接的に経済化するこの考え方は、「マーケットアウト」と表現できます。
《この記事のポイントを再確認!》
☑️コミュニティマーケティングの特徴は「大多数 対 大多数」の関係を築くこと
☑️ファンマーケティングの特徴は「1 対 大多数」の一方通行の発信がメイン
☑️ファンマーケティングの目的はファンの忠誠心を維持し、好意的な気持ちを育てること
☑️従来のコミュニティマーケティングでは、コミュニティ内の限定的な販促に留まりがち
☑️ファンコミュニティマーケティングとは、コミュニティ内で生まれる新たなニーズをいち早く捉え、新たな経済圏を作り出すこと
☑️ファンコミュニティでは、細分化された価値観へピンポイントでアプローチできる
☑️マーケットインが効きづらくなった市場を、ファンコミュニティの活用で解決する
従来のコミュニティマーケティングと混同されがちなファンマーケティング、それぞれの特徴と違い、そして新たな概念としての「ファンコミュニティマーケティング」の可能性について解説しました。
ファンコミュニティマーケティングの面白さや重要性を感じる一方で、「自社で取り組むのは難しそう」と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
運用してすぐに成果が出るものではないですが、取り組むことで企業にとって多くのメリットがあります。
次の記事では、ファンコミュニティマーケティングを行う3つのメリットと、ファンコミュニティマーケティングにおいて最も重要な「共創」の考え方について解説します。