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<新世代の町おこし>甲府市がインフルエンサーと綴る四季折々の観光物語
山梨県甲府市
名将・武田信玄公の像の傍で、その歴史と未来を繋ぐように咲き誇る桜うつくしい春。そして燃えるような夏、果物の実り豊かな秋、寒さは厳しくも澄み晴れ渡る冬。四季の移ろい鮮やかなこの街が、山梨県の県庁を持つ甲府市です。本インタビューにてお迎えした鈴木優輔さんは、甲府市産業部産業総室の観光課に『地域活性化起業人』(総務省企画)として市の情報発信を担っておられます(インタビュー時)。地域の活性化に携わってきた経験を活かして市の魅力をSNSで発信すべく着任後様々な施策を打ち出してこられた鈴木さん。民間企業とは異なる、自治体としてのSNS活用・インフルエンサー事業の手ごたえについて振り返っていただきました。
サービス利用前
課題
若者から広がる甲府の魅力、新しいSNSでの町おこしを目指す。
- 甲府市アカウントからの情報発信には限界があると感じていた。
- 20代女性などの「シェア文化」を持つ世代に魅力を周知していきたい考えがあった。
- 行政の堅いイメージではなく、観光客の目線での投稿を行いたかった。
LIDDELLと
取り組んだ理由
メディアでも一般観光客でもないインフルエンサーならではの視点に期待。
- 地元で暮らす市職員や市民にとって、SNS投稿が気軽で身近なものになってほしかった。
- インフルエンサーの発信する能力に期待があった。
- 体験を伴う「個人の視点」で、これまでにない観光地の良さを発見。
施策の効果
市職員・インフルエンサー・PRが三位一体となり生まれた質の高い投稿。
- 3,500を超える保存(ブックマーク)数をはじめとしたエンゲージメントの数値成果。
- インフルエンサー自身が選んだ観光ルートと、地元職員のアテンドが生んだ豊富で自分事化された情報量。
- 心から楽しんでもらいながら、同時に効果的なPRが生まれた。
サービス利用前
課題
若者から広がる甲府の魅力、新しいSNSでの町おこしを目指す。
観光課に着任し、さて何ができるかと考えたときに、そのとき運用されていたSNS類が活用されていないのが目に留まりました。もともとTwitterやFacebookの公式アカウントはあったのですが、十分には機能しておらず、Instagramは甲府市全体のものだけあって、観光課のアカウントはありませんでした。まずはInstagramアカウントをすぐに立ち上げましたが、ただぼやっと投稿するだけでは反応もフォロワーも増えないだろうし、何か施策を打った方がよいと考えました。
甲府は景勝地が多いからこそ、観光に来られるのもシニアや男性のお客さんが多い。なので、観光客としては少なかった20代の女性の方にアプローチしたいと思いました。その世代の方にとってはwebやSNS上でシェアする文化が年配の方よりも根付いています。身近な人だけではなく、友達の友達の友達…と情報が広がっていく。情報発信をしていく中で、この層の方のもつドライブは大事です。甲府ってこんな観光スポットがあるよ、というのを若い人に知ってほしかったし、そこからさらに情報を知りたい方はぜひ、という導線を作ってアカウントを周知させたいという思いもありました。
検討が必要だったのが、観光課のアカウント立ち上げにあたり、掲出する情報をどう線引きするかということです。つまり、行政と関係ない個人の飲食店や特定の企業を取り上げることは本来自治体としては慎重になるケースが多いはずなんです。でも市全体のアカウントとは違って、せっかく観光課のアカウントなのですから「観光に訪れる人にとって価値のある情報」の発信が必須だと考え、行政に関係するしないではなく、公共の観光スポットや風景に加えて飲食などの個人店の紹介などもしていきたいということで提案しました。この線引きは個々の自治体によると思いますが、関係各位でしっかりすり合わせる必要がありますね。
そうして魅力ある情報を発信し、山梨県、そして甲府市が「旅行に行こう」となったときの選択肢にしてもらえるよう、魅力を認知してもらえるPRをしたいというのが課題であり目標でした。
LIDDELLと
取り組んだ理由
メディアでも一般観光客でもないインフルエンサーならではの視点に期待。
市がSNSを活発に運用することで、市民や市職員がもっと気軽に甲府市の魅力を発信していける起爆剤になればという思いがあったことと同時に、「インフルエンサーの視点」が欲しかったことで、こういった施策に乗り出すことにしました。
まだまだSNSは、自治体の課長・係長といった世代の人にとってはとっつきやすいテーマではありません。広告配信をしたり、SNSを基盤にした町おこしを企画したりなどといっても前例も少なく、行政の観光分野にSNS運用はまだまだ浸透していない。若いスタッフがいるところだけうまくやれている、みたいな文化を塗り替えていきたくて。せっかくみんなこの町で暮らしているのだから、もっと気軽に、家に帰るときに見えた虹を撮影してUPしてみた、ぐらいなじむといいなと思います。そういった職員の投稿を見たときに、市民のみなさんとの間にも交流が生まれ、新たな発信が生まれることに期待していました。
もうひとつ、インフルエンサーの方の一般の観光客とは異なる視点にも期待がありました。仕事として請け負ってくださるからには、自分の旅行が楽しければそれで良いというところ止まりではなく、発信のことを考えながら旅をしてくれるだろうと。
実際、候補の中から若手職員と一緒にPR投稿をしてくれるインフルエンサーを決めさせていただいて、一緒に甲府市を回らせていただいた方はいずれもスポットごとにこれが面白かったね、というポイントを見つけながら見ていってくれている感じがありました。行ったからこそわかる、その場所ならではのポイントを拾おうとしてくれていましたね。個人の感情や経験を乗せてくれるインフルエンサーさんの投稿は、マスメディア的な観光紹介とは違う良さの発掘があると思いましたし、期待通りの投稿をしていただけました。
施策の効果
市職員・インフルエンサー・PRが三位一体となり生まれた質の高い投稿。
フォロワー数の7倍のリーチ数や3,500を超えるブックマークをはじめ、費用対効果も高くインプレッションもいい数字が出て手ごたえがありました。一番ビューの伸びた投稿は、施策から1年近くたった今でも検索の上位に出てきます。実際にインスタを見て甲府に来ましたという方の数を測るのは難しいですが、広告の数値とあわせてフォロワー数が増えるなどの目に見える変化もありました。今はまだ自分や若い職員以外の自治体の上の世代の方にとってはこういったSNS施策の数値にピンと来ない部分もあると思うので、これまでの文化をもアップデートして、継続的に施策を打っていきたいと感じる結果となりました。
インフルエンサーさんもご依頼以上に工夫を凝らして、回数を重ねた投稿をしてくれ、別メディアでも自発的な投稿をしてくれたのがありがたかったです。
当日は車で移動して観光スポットを回りました。私と甲府が地元の職員と、インフルエンサーさんとそのご友人と4人でしたが、地元の話やインフルエンサーさんのお仕事の話など和気あいあいと過ごせたんです。甲府に来てくれたお客さんとガイドの地元民という感じで、途中からはもう依頼者とインフルエンサーという感じはなかったですね。
それでもインフルエンサーならではの目線で観光地を切り取ってくれました。訪ねる場所は甲府市発信でお願いしたポイントも数か所あったんですが、自身で選んで行きたいところを中心に回っていただきました。アテンドの中でお話しした現地の情報もたくさん交えていただいたことで、投稿の中の情報量はすごいですよ。インプットが多かったことに加えて、ライターのスキルをあわせもったインフルエンサーさんとマッチしたことで、単純にオシャレな写真を上げる人ではなく、旅雑誌のように引き込むコンテンツにしてアウトプットしてもらえたのも反響が大きかった理由だと思います。
友達と二人で回ってくださったことで写真の構図なども工夫されていたし、人が映っているのと景色だけなのでは全然違いますね。楽しんでもらえるようにご友人もお招きしてよかったです。
施策後はインフルエンサーと私たちが相互にフィードバックもでき、フェアな関係性の上で、互いのこれからにとってプラスになる意見交換ができたと思います。
先ほどもお話ししましたが、今後の自治体の情報発信は継続して取り組むことが大切だと思っています。リーチが出なくても根気強く取り組んでいく。活発に運用されている他自治体の事例だと、特定のタグを作ったり、それを使って投稿してくれた市民の方の写真を企画で取り上げたりなどもされています。地域の方との繋がりも強くなるし、地元を自慢できるようになって好きになれる方が増えていく。そうすると自ずと周知されていき訪ねてくる人も増えていく。そういう連環をつくりだしていければなと思います。
おわりに
鈴木さんご自身が運用されていた甲府市観光課Instagram。アカウントに投稿するために地元の店を訪ねたり観光地を巡ったりしたことで、就任後すぐの地域への理解が深まっていったのだそう。そしてきっかけは広報の仕事のためでも、食事がおいしくて常連になる店もあって、知人に勧めたりもしてましたよ、と朗らかにお伝えいただきました。行政がSNSを活用するというのは、民間企業と比較すればハードルが高いことだと思われがちです。しかし、インフルエンサーを通じて地元の方ともSNSで行政がしっかり繋がり、地元愛を外にも拡散していく、そんな広いコミュニケーションのプラットフォームを作れるのは自治体ならではの力ではないでしょうか。
山梨県 甲府市
山梨県の県庁所在地である甲府市は、人口約18.8万の人が暮らす県最大の都市です。「人・まち・自然が共生する未来創造都市 甲府」を都市像に掲げ、様々な施策を展開しています。夏暑く冬寒さ厳しい盆地に位置する都市ですが、寒暖に強いナデシコの花を市花に、四季折々の彩りを魅せてくれる美しい自然に恵まれた街でもあります。
観光課では、地域活性化起業人制度(旧地域おこし企業人制度)を活用し、地域活性化の課題へ積極的な取り組みを行っています。
山梨県の県庁所在地である甲府市は、人口約18.8万の人が暮らす県最大の都市です。「人・まち・自然が共生する未来創造都市 甲府」を都市像に掲げ、様々な施策を展開しています。夏暑く冬寒さ厳しい盆地に位置する都市ですが、寒暖に強いナデシコの花を市花に、四季折々の彩りを魅せてくれる美しい自然に恵まれた街でもあります。
観光課では、地域活性化起業人制度(旧地域おこし企業人制度)を活用し、地域活性化の課題へ積極的な取り組みを行っています。