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マーケティングで大切な顧客視点とは?顧客理解を深めるAmazon流の考え方も紹介
最終更新日 2024年9月6日(Fri)
記事作成日 2024年5月24日(Fri)
顧客の目線に立って考えるのは、マーケティングを成功させるための鍵となります。しかしどのような行動や思考が求められるのか、ピンとこない方が多いかもしれません。
本記事では、マーケティングに取り入れるべき「顧客視点」について詳しく紹介します。
施策のアイディアに煮詰まっていたり、マーケティングの軸が思い浮かばなかったりしてお困りの企業担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
そもそも顧客視点とはどのような考え方?
顧客視点とは、商品やサービスを使う側の目線に立ち、考えを深めることを言います。
ユーザーの多くは、商品に感じている違和感やニーズについて、具体的には気づけていません。そこで企業が顧客視点で考え、ユーザー自身も言語化できていなかった潜在的な心境を明らかにすることが大切なのです。
加えて、次のように顧客自身が無意識のうちに意識決定している部分は、インターネットや本で得る情報だけではイメージが行き届きません。
- どのような悩みを持って商品を探しているのか
- どのような視点で商品を検討するのか
- 商品を知った直後にどのような行動をするのか
そのため企業がマーケティングを成功させるには、顧客の視点に立ち続けて思考を深め続ける必要があります。
顧客視点をマーケティングで取り入れるべき3つの理由
顧客視点を取り入れるべき理由を、ここでもう少し踏み込んで確認しておきましょう。
顧客視点を意識できないと企業とユーザーとの間にどのようなギャップが生じてしまうのか、具体的に解説します。
1.企業側の意見にかたよらずマーケティングできるから
顧客側の考えを理解・踏襲することで、企業側の自分本位なマーケティングを防げます。
企業が実現したいことを優先させると、顧客のニーズからはズレてしまう可能性があるでしょう。例えば企業は性能の高い製品を提供し、技術力をアピールしたいと思うかもしれません。
しかし顧客の中には「高齢者や子供に持たせるためにシンプルな商品が欲しい」と考える人もいると予想できます。このニーズに対して「機能がたくさん搭載された最新商品」を売り込んでも、それは企業の意見に偏っている状況です。
顧客視点で考えることで、リアルな使用シーンやユーザー像が思い浮かび、より適切なマーケティングを叶えられます。
2.視野を広く持てるから
企業の一方的な思い込みを捨てるためにも、顧客視点を参考に広い視野を手に入れることが求められます。企業だけで考えると、例えば化粧品なら「使うのは女性だけ」「小中学生にはまだ早い」など、視野が限られる可能性があるのです。
しかし顧客は、企業が思ってもいなかった斬新な意見や潜在的なニーズを持っているもの。企業の考えだけを正解とすると、マーケティングの可能性を閉ざしてしまうでしょう。
この化粧品の例なら、顧客視点で視野を広げることで「男性向け化粧品」や「子ども向けの口に入れても安全な化粧品」など新たな訴求アイディアを発見できます。
3.新たなベネフィットが見えてくるから
ベネフィットとは、顧客が商品やサービスから得られるプラスの未来を意味する言葉です。
顧客視点を持たないとこのベネフィットを掘り下げられないまま、マーケティング施策が進んでしまいます。するとプロダクトのアピールポイントが単なるメリットで終わり、真の魅力を伝えられない原因になるでしょう。
もし「綺麗に積み重ねられるお皿」を訴求するには「積み重ねることでどのような未来(ベネフィット)を得られるのか」を伝えなければ、メッセージに深みが生まれません。
顧客視点に立ち「積み重ねられるお皿でユーザーのどのような悩みを解決できるのか」「悩みを解決した結果ユーザーの体験はどのように変わるのか」を明確にすることが大切です。
マーケティングで顧客視点に立つための具体的なノウハウ
顧客視点に立つことで「ユーザーはどんな未来を得たいのか」「どんな体験を求めているのか」といった深いところまで考えを巡らせることができます。
ただ、いきなり「顧客視点を持とう」と勧められても、行動に迷ってしまうかもしれません。
そこでここからは、顧客視点を磨くためのノウハウをお伝えします。
1.ペルソナを決める
ペルソナとは、商品やサービスを利用する典型的なユーザー像を指す言葉。
- 氏名、年齢、性別などの基本情報
- 家族構成や交友関係
- 職業、年収、立場
- 趣味、興味
- 目標
価値観など定量化できない部分まで考え、詳細なユーザー像を固めていくことが大切です。
例えばターゲットを「女性」と定義しても、幅広すぎて顧客視点を深めることは難しいでしょう。女性といっても、年齢や家族構成、好みなどは1人ずつ異なるからです。
そこでペルソナとしてターゲットよりも深いユーザー像を思い描くことで、見込み客の考えや私生活をイメージしやすくなります。
2.顧客の声を集める
ユーザーが本当に望むことを1番に知っているのは、そのユーザー自身です。
ユーザーの本音を集めることで、ペルソナからはイメージが膨らみきらなかったリアルなニーズが思い浮かびます。
ただ、アンケートで直接的に意見を吸い上げる方法はおすすめしません。回答が一般論に落ち着いてしまうことが多いからです。
例えば、ファストフードで有名な某社では、ヘルシー思考のお客様の声をもとに健康的なメニューを開発しました。しかし販売しても思うようには売れず、お客様の声だけでは顧客視点になり切れていなかったことがわかります。
ユーザーはこの企業のファストフードに対して「ジャンキーで健康的とは言えなくても、気にせず思いっきり食べたい」という潜在的なニーズがあったと考えられます。
そのため、UGC(ユーザーが自ら作ったSNS投稿など)のチェック、コミュニティ構築といった方法で、ユーザーから無意識的に湧き出る考えを拾えると効果的です。
3.視座を落として考える
企業側は通常、製品に関する知識や業界の背景を十分に理解して、マーケティングに臨むことになります。しかし知識がありすぎても、ユーザーの感覚からはかけ離れてしまうでしょう。
そこであえて視点を下げ、顧客と同じ感覚でマーケティングについて考えるのがおすすめです。
- この用語は顧客にとって理解が難しいのでは
- この理論は業界では当たり前だが、一般的には知られていないのでは
- 製品説明より先に、解決策の一般論から伝えないと想像が膨らまないのでは
このようにユーザーの知識レベルに合わせて考えることで、顧客視点がより深まります。
Amazonに学ぶ顧客起点の考え方
「顧客視点」は、企業が顧客の頭の中を想像して考えを巡らせること。顧客視点を活用すべきタイミングは特に定義されていません。
一方で「顧客起点」は、顧客の立場に身を置くことからスタートします。新しい挑戦を始める際、どのようなユーザーがどのような問題を抱えているのかといった「お客様の姿」を思い描くことが特徴。
最初に顧客像から問題を考えることで、チーム内の認識のズレを防ぎながら一貫性のあるマーケティングができるようになります。
顧客起点を具体的に追求する「Working Backwards」とは?
Amazonの「顧客起点」の考え方を具体化するためのフレームワークが「Working Backwards(ワーキング・バックワーズ)」です。日本語に直すと「逆算して動く」という意味。
本来なら企業が起点となって顧客への届け方を考えるところ、逆から考え始めるのが大きな特徴です。顧客起点でユーザーの姿をイメージして、そこからやるべきことを逆算するのです。
具体的な完成イメージを思い描いてからプロジェクトの詳細を詰めることで、価値がブレることを防げます。
Amazonでは「Working Backwards」でどのような行動をとっているのか、具体的に紹介します。
1.5つの質問に答える
プロジェクトの成功により顧客が辿り着ける未来を、5つの質問に答えることで言語化するステップです。
- お客様は誰ですか?
- 現在の課題と新しい可能性は何ですか?
- お客様にとっての最大のメリットは何ですか?
- お客様のニーズやウォンツをどのように知りましたか?
- お客様の未来はどのように変わりますか?
(出典:AWS Tech talk Night#1 ~Amazon メカニズムによるイノベーション創出からプロトタイプ開発まで~)
この質問で思い描いた未来から逆算してマーケティングなどを考えると、今すべきことがさらに明確になります。
2.プレスリリースで完成イメージを持つ
プレスリリースは本来、商品やサービスのローンチ予定が固まった段階で作成するもの。しかし「Working Backwards」では、開発に入る前のタイミングでプレスリリースを書き上げます。
やるべきことを明確にするための手段として、プレスリリースを活用するのです。
ポイントは、1枚の紙に収まる程度でシンプルに作成すること。開発やマーケティングの関係者とアイディアを共有するために作るものだからです。
多くを伝えすぎないよう含めるべき情報を絞ることで、発想を膨らませたりチームでコミュニケーションを深めたりするきっかけとなるでしょう。
3.FAQでリスクを対策する
FAQとは「よく尋ねられる質問とそれに対する回答」を意味します。「Working Backwards」では、社内外から浮かび上がるであろう疑問に先回りで対応するために、FAQを作成します。
商品をリリースするまでに、マーケティングのほか、法規制への対応や財務の課題といったあらゆる質問を受けることになるでしょう。リスクや課題についてFAQで先手を打って答えることで、プロジェクトの要件がさらに具体化されます。
まとめ:記事のポイントをおさらい
《この記事のポイントを再確認!》
☑️顧客視点とは、ユーザー側の目線に立って考えを深めること
☑️マーケティングで顧客視点に立つべき理由は主に3つ
①企業側の意見にかたよるのを防げるから
②視野を広く持てるから
③新たなベネフィットに気づけるから
☑️顧客視点を徹底するなら、Amazonの取り組み「顧客起点」を参考にするのがおすすめ
☑️「顧客起点」を形にするフレームワーク「Working Backwards」の手順3ステップ
①5つの質問に答える
②プレスリリースで完成イメージを持つ
③FAQでリスクを対策する
少子高齢化やデジタルデバイスの普及を受け、近年のマーケティングでは求められることが変化しています。単に機能面で訴求する時代は終わり、顧客の心を動かして体験価値を高める「情緒的価値」を意識した企業活動が必要となったのです。
そのためにも、企業と顧客との考えのギャップを防ぐ手段として「顧客視点に立つこと」が大切です。ペルソナ思考でユーザー像への理解を深めるなどして、顧客の潜在的な価値をぜひ重視していきましょう。
「顧客の立場に身を置くこと」を徹底する手法として、Amazonの顧客起点の考え方が参考になります。顧客が求める未来から逆算的に思考することで、常に顧客に寄り添ったマーケティングを貫けるでしょう。