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ステマ規制の判断基準!違反にならないために押さえる3つのポイント
最終更新日 2024年10月17日(Thu)
記事作成日 2023年12月23日(Sat)
2023年10月1日から始まったステルマーケティングに関する景品表示法規制、通称「ステマ規制」。
SNS上でも、知らずに行ったPR活動がステマ違反と見なされ、法的な罰則を受けるケースがあります。
しかし、実際は多くの企業が「何をしたらステマ規制に引っかかるのか」、線引きが曖昧で分かりづらいと思っているでしょう。
そこでこの記事では、「ステマ違反を避けるための判断基準」を以下のフローチャートから3つのポイントに分けて紹介します。
目次
ステマ規制の概要・罰則
本題に入る前に「ステマ規制」に関する概要と違反時の罰則について、明確にしておきましょう。
そもそもステマ規制とは
ステマ規制とは、ステルマーケティング(ステマ)に対する規制です。
ステルマーケティングとは、事業者が広告主であることを明示せず、一般ユーザーなどの第三者が自然な形で推奨しているように見せかけるマーケティング手法のことです。
レビューサイトや、口コミ、SNSコンテンツなどが該当します。
ステマ規制に違反するとどうなる?
ステマ規制に違反した場合、景品表示法による不当表示規制の対象で、措置命令を下される可能性があります。
また、措置命令に従わない場合、2年以下の懲役または300万円以下の罰金のいずれか、もしくは両方のペナルティが課されます。
ちなみに、ステマ規制の対象は事業者のみです。
ステマ判断基準①宣伝・販促の意図があるか
1つ目のポイントは、投稿コンテンツ自体に企業のPR意思があるかどうか、です。
- 5w1h
- 背景
- 前後関係
など、消費者庁のガイドラインで条件が細かく定義されており、「OK/NG」の境界線はケースバイケースで異なります。
しかし、ステマ違反かどうかは「宣伝・販促意図の有無」が判断基準の入り口です。
ステマ判断基準②発信者が第三者かどうか
2つ目のポイントは、発信者の立場です。
- 企業(事業者)自らが発信するのか
- 第三者に依頼して発信するのか
ちなみに、消費者庁では「事業者の表示」としています。
簡潔に言えば「企業の発信」ですが、管轄の『消費者庁表示対策課』とは、製品の品質表示や食品ラベルを担当していて、「広告」もそのひとつだから「事業者の表示」としているそうです。
では、本章の具体例を見ていきましょう。
「企業(事業者)自らが発信する場合」の判断ポイント
下記のような企業が直接発信するもの、つまりオウンドメディアが規制対象になります。
|
OK/NGの条件は、主に下記3つです。
- 宣伝や販促などに携わる職務か
- 組織の取り組みか
- 一般の方と明確に区別できているか(紛らわしくないか)
NG条件のいずれかに当てはまれば、下記のような対処が必要です。
- プロフィールに所属や役割を記載する。
例:〇〇ブランド、〇〇店、販売スタッフ など - 投稿(発信するもの)に企業の取り組みであることを記載する
例:〇〇ブランド、スタッフのおすすめなど
「では、人事担当者なら良いのでしょうか?」と質問をお受けしますが、下記のパターンは対処が必要です。
- 人事担当者だが、宣伝部の人から頼まれた場合【組織の取組に該当】
- 積極セール対象品で、全社で販促の取組がされている(やり方は指定されていない)場合【組織の取組に該当】
また、モデルやスポーツ選手などが企業からスポンサーを受けたり、ブランドプロデューサーに就任したりすることがあります。
「スポンサーからの提供商品をプライベートで使用し、SNSに投稿した」
この場合でも、その商品提供にプロモーションの意図があれば、「一般消費者が、ひと目で企業の取り組みであることが分かる状態で発信する」必要があります。
また、SNS投稿を特定の条件で抽出し、ブランドサイトなどに転載(埋め込み表示)する場合は、「この条件で抽出しています」と明記が必要です。
世の中みんながこう思っていると勘違いさせることは「紛らわしい」に該当します。
「第三者に依頼して発信する場合」の判断ポイント
企業が公式や従業員からではなく、インフルエンサーや一般消費者などに発信してもらう場合、以下のものが規制の対象になります。
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OK/NGの条件は主に下記4つです。
- 発信を依頼した
- 宣伝・販促を目的に商品や役務を提供した
- 発信内容に関与した
- 提供した商品や役務以外にメリットやデメリットを提示した(匂わせた)
上記いずれかに当てはまる場合、ステマと見做されないためには下記のような対処が必要です。
- #prや#adなどの広告表示
- 提供や依頼を受けて発信していることを明記
例:〇〇[ブランド名]からいただきました、▲▲イベントにご招待されました、〇〇キャンペーンに当選しました など。
ハッシュタグを用いた広告表示について、「#prって絶対に必要でしょ?」「#prが付いていないとステマ違反じゃないの?」という話を耳にします。
ステマ規制の本質は、企業による宣伝・販促目的の発信を明示し、消費者を惑わさない(正しい判断を阻害しない)ことです。よって、重要なのは「#pr」を付けることだけではなく、宣伝・販促目的であるということがしっかり消費者に分かればOKです。PRであることが記載されていても、以下のように分かりづらいものはNGといえます。
- 大量のハッシュタグに紛れ込ませている
- 別の場所に書かれている
- 極端に短い・早い・薄い、特殊
一方、インフルエンサーや一般消費者が、企業から依頼を受けていないにもかかわらず「#pr」と付けてしまい、どれが正式な広告なのか分からない状況を生み出している場合もあります。
ステマ判断基準③企業発信でも状況・条件による
3つ目のポイントは、企業が自ら投稿を行うときの「発信状況(立場など)」や「条件」です。
先述の通り、ステマ規制は「広告」か「個人の意思」かを客観的に判断するため、5w1h、背景、前後関係など様々な条件が定められています。
そのため、シチュエーションや状況によって「OKか」「NGか」が変わります。
よくある分かりやすい例として、「〇〇したらプレゼント(懸賞)」を用いて解説しましょう。
パターンA:第三者の自主的な意思は違反にならない
【例】Googleマップで自由にコメントしてくれたらトッピングをプレゼント
この場合は、消費者庁のガイドラインの「第2-2 事業者が表示の内容に関与したとされないもの」の”カ”になります。
第三者が、事業者がSNS上で行うキャンペーンや懸賞に応募するために、当該第三者の自主的な意思に基づく内容として当該SNS等に表示を行う場合。
(出典)「一般消費者が事業者の表示であることを判断することが困難である表示」の運用基準
パターンB:第三者の意思決定に関与したら違反になりえる
【例】注文したラーメンに「画像→スープにレンゲをさして」「ハッシュタグ→#レンゲが立つ濃厚スープとつけて」、公式アカウントにメンションを付けてくれたらトッピングプレゼント
上記のパターンもよく見かける手法です。
アパレルやコスメで「このアイテムをこんなシチュエーションでハッシュタグ付けて」というパターンも同じです。
この場合は、消費者庁ガイドラインの「第2(2)ア(ア)事業者が第三者の表示内容決定に関与している場合〜」に該当します。
事業者が第三者に対して、当該第三者のSNS上や口コミサイト上等に自らの商品又は役務に係る表示をさせる場合。
(出典)「一般消費者が事業者の表示であることを判断することが困難である表示」の運用基準
ステマ規制違反による措置命令事例
消費者庁は2024年8月、某大手トレーニングジムにステマ違反による措置命令を下しました。
2つの景品表示法違反がありましたが、そのうちの1つがインフルエンサーを起用したステマ違反です。
インフルエンサーに対価を支払ってSNSでの投稿を依頼したのにもかかわらず、宣伝・販促の意図がないかのように一般顧客の声として掲載していました。
これが、消費者庁から一般消費者に誤認されるおそれがある、と判断されたようです。
これは本記事で紹介した「ステマ判断基準②」の「第三者に依頼して発信する場合」に該当しますが、判断基準①~③を読むと、少し理解できるのではないでしょうか。
ステマを避けるために
ステマ規制は「消費者を惑わせないよう、誰もがひと目で広告・宣伝と分かる表示をしましょう!」というものです。
意図せずステマを行ってしまわないためにも、今回ご紹介した「①宣伝・販促の意図があるか」「②発信者が第三者かどうか」「③企業発信でも状況・条件による」という3つの判断基準を意識してみてください。
とは言っても、広告や販促活動は企業様によって多種多様。この記事を読んでも「じゃあ、これはどうなの?」と 悩めるシーンがたくさんあるかと思います。SNSでのステマ規制がいまいちよく分からない、という方はお気軽にお問合せください。
★ファッション・ビューティー業界専門紙『WWDJAPAN』のWeb版にて、【マンガで学ぶステマ規制】の連載を掲載中!
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